プロが教える!スノーボード初心者が知りたいグラトリ上達の秘訣
更新日: 2023/12/01
その他斜面を滑りながら、クルリと回転したり、ノーズ側やテール側に重心を移して“プレス”をしたり。格好良くキマれば上手さが際立ち、目立ち度も抜群。そんなグラウンドトリックをメイクするコツを、斎藤千春さんに教えてもらいました。
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そもそもグラトリとは何か?
グラトリには“ボードを自在に扱って遊ぶ”というイメージがあります。リフトを降りて斜面を滑っていく場合、ターンをしながら滑っていきますので、ボードで使用する主な部分は両サイドのエッジとソールと呼ばれる滑走面。一方、反発力を利用するなど、もっとボードの性能を引き出しながら、引き出すための乗り方をしながら、飛んだり回ったりして滑っていくのがグラトリです。グラトリとはグラウンドトリックの略。文字通り、グラウンド(斜面)でトリック(技)をしながら滑っていく滑走スタイルなんです。
「Mgスノーボードスクール ノルン水上校」でもグラトリのクラスがあります。そこではまず平地でボードの動かし方をレクチャーします。
“ボードは友達”(笑)と思える感覚を得ることが大切で、静止した状態でボードの上に乗り、しゃがんだり立ち上がったり、上体をひねったり、ノーズ側やテール側に荷重をしてしならせたりしながら、“身体をどう動かせばボードはどう動くのか”といった感覚をつかみます。
その次に緩斜面のコースに出て、連続ターンをしながら滑っていきます。通常のターンは半円(180度)を描くように行うものですが、ターンをするタイミングで後ろ足を前方へ出すようにしてみると、ボードはさらに回って円(360度)を描きます。これを繰り返しながら滑り降りてくるところまでが、グラトリのベーシックなレッスン。平地での動きを滑りながら行うのですが、結構みなさんマスターしています。また、ボードを180度回すとスタンスが通常とは逆向きになったフェイキー※という状態になりますので、この状態で滑れるようになるのも大切です。
最初のうちに練習するフィールドとしては、荒れていない、雪が程よくゆるんだ緩斜面がベスト。アイスバーンなど雪面がハードに締まった状態だと転ぶと痛いですし、荒地だとエッジが引っかかりやすいので。綺麗な緩斜面のバーンで練習するのがいいと思います。
※進行方向と逆にテールを前にして滑ること。スイッチスタンスとも言う。
プレス系のトリックをマスターする!
ボードの扱いに慣れてきたら、挑戦したいのがプレス系のトリックです。プレスとは押すこと。ノーズプレスなら前足とノーズの端との中央付近に、テールプレスなら後ろ足とテールの端との中央付近に重心を乗せて“ボードを押す”トリックです。これもまずは平地で行って感覚を掴むのがおすすめです。
大切なのは、重心を移動させることでボードをしならせること。力でしならせようとすると、ボードを持ち上げる意識が強くなってバランスを崩したり、持ち上げることに疲れてボードが下がってしまったりと、うまくいきません。あくまで重心を移動させ、ボードのフレックス性を引き出すことがプレス系トリック成功の秘訣。その上で上半身をうまく使えるとバランスをキープしやすくなります。
ボードをプレスする感覚を得られたら、その応用としてオーリーにチャレンジしてみましょう。重心をテール側に移動させて、しっかり踏み込みながら雪面にプレスしたボードを、ポンっと弾いて解放させるイメージです。“上に飛ぼう”という意識が強いとバランスを失いやすくなりますが、ボードに力を加えることを意識すると安定感が増して、結果的に高さのあるオーリーをすることができます。ちなみに、これをノーズ側で行うのがノーリーです。
スピントリックに挑戦する!
スノーボーダーなら、スピンをしてみたいですよね。それにはまずオーリーをマスターしましょう。そして斜面を滑りながら思うようにボードをしならせ、ポンっと飛べるようになったら、次のステップは「ワンエイティ」。ボードを180度回転させるスピントリックです。
180には大きく分けてフロントサイドとバックサイドの2通りがあります。フロントサイドは、進行方向に身体を開くように回していくもの。バックサイドは背中側に回していくものです。
フロントサイドの180では、まず斜面を滑り降りながら徐々にヒール側のエッジに荷重していくことでスピンの準備をします。このときに、後ろ側の腕を背中側へ振ってタメを作ってみましょう。そしてオーリーと同時に、タメを利用しながら後ろ側の腕をスピン方向へ引き上げていきます。ただ、180の場合、こうした先行動作はそれほど大袈裟に行う必要はありません。あくまで回転するきっかけ作りというイメージで十分です。
空中姿勢は足をひきつけたコンパクトな形を意識。その方が安定しますし、シルエットも格好良くなります。着地ではしっかりと着地点に目線を送ること。衝撃に対応するため膝を柔軟にして、ピタッと着地ができれば完璧です。このとき、ボードが惰性でピタッと止まらず流れてしまうこともありますが、そのあたりの感覚は練習を重ねてつかんでいきましょう。
※本来は180度回転するトリックですが、上記写真では室内の為、回転はしておりません・・・。
グラトリ上達の秘訣!
プレスもスピンも常に重心を意識すると良いと思います。重心の置かれたところが軸となり、その軸を中心にトリックへアプローチできると安定したパフォーマンスにつながります。加えて「頭から背中をまっすぐに立てる」「コンパクトな姿勢を保つ」といったことも安定感につながりますので、意識しておきたいポイントです。
イメージトレーニングも上達につながります。ゲレンデで上手い人を見つけて観察し、頭にイメージを浮かべながら同じ場所で同じトリックに挑戦してみたり。グラトリは緩斜面でゆっくりで遊べるものですから、ボードがなくても動きの理解はしやすいと思いますし、普段からハウトゥ動画や好きなスノーボーダーの動画を見て、イメージを膨らませておくのもいいですね。
動画といえば、自分の滑りを撮っておいて見直すのも効果的です。「膝はもっと曲げているつもりだったのに……」といったイメージと現実にギャップが見られるのはよくある話し。そのギャップを埋めていく際に、自分を客観的に見られる動画は非常に役立ちます。
撮影方法は、グラトリならウェアラブルカメラを使った追い撮りが良いと思います。もしくはコース脇などで構えて滑ってきてもらうところを撮るのもアリ。角度によってトリックの見え方は変わるので、できるだけ色々な角度から撮影できるといいですね。
グラトリ向けのギア!
最後にギアについても触れておきます。まずボードですが、特に初心者の方はフレックスの柔らかいツインチップ形状※のモデルがグラトリにはおすすめです。軽く踏むだけでしなってくれますし、グラトリの感覚を体感しやすいと思います。
それと初心者が気をつけたいのが逆エッジ。本来使うべきものとは反対側のエッジに体重がかかり、バランスを崩してしまう状態のことです。グラトリでも起きやすく、ときに身体が投げ出されてしまうように転倒することがあります。この逆エッジを起きにくくする観点からも、センター部分はフラットでノーズとテールは反っているデザインなど、一般的なキャンバーボード※ではない形状を選んでもいいと思います。
足回りは柔らかく保ちたいですね。グラトリは低速で遊ぶ感じなので、シューレース※をゆるめて滑っている人も見かけるほどです。ブーツが硬く、紐もしっかり締めて足元を固めてしまうと、足首の可動域が狭くなってしまいますし、絶妙な荷重やボードコントロールができなくなってしまいます。またバインディングは、両足のつま先が少し開くような形でセットするとフェイキーなどもしやすくなります。私は前足が15度で、後ろ足が−6度。普通に立った状態で重心がボードのセンター来るようにセットしています。
第19期JSBA(日本スノーボード協会)
公認デモンストレーター
斎藤千春
- プロフィール
- 埼玉県出身。群馬県・みなかみ町の「ノルン水上スキー場」にある「Mgスノーボードスクール ノルン水上校」で校長をつとめる。同スクールで“オシャレにカッコよく”をモットーにスクールを展開。プライベートレッスンも用意して、最高に楽しいスノーボードを優しく教えてくれる。JSBA公認A級インストラクター。
- SNS&HP
- Instagram : chiharu_snow
SchoolHP : http://mgsbs.jp/
- メッセージ
- スポーツでありレジャーであるスノーボード。
できる事が増えて上達すると楽しさも倍増します!
ゲレンデのルールやマナーはありますが、楽しみ方に決まりはありません!
色々な事にチャレンジして限りあるシーズン思いっきり楽しでください‼︎
Japan SnowBoarding Association、JSBA
日本スノーボード協会(JSBA)
- JSBA Official Site
- https://www.jsba.or.jp/
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